離れるのではなく、広げていく

おはようございます。大宮です。
次の週末に、6年間住んだ西荻窪から引っ越すことになりました。
中央線を遡り、四ツ谷に居を移します。
といっても、中央線の駅からは徒歩20分もかかるのですが…。
事務所は変わらずに西荻なので、45分ほどかけて通勤する予定です。
定期を買うなんて7年以上ぶりなので、興奮しています。

なぜ四ツ谷なのかは来週にでも書くとして(大した理由はありませんが)、「引越」についての感想を言葉にしてみたいなと思います。

僕は、自他ともに認める「内弁慶」です。
自分がホームだと感じる場所や状況では、傲慢なほど自信満々になり、お節介くんになるのです。
地元での食事会、気の合う仕事仲間との飲み会、僕が主催する同窓会や合コン…。
しかし、アウェイだと感じてしまうと、臆病で神経質で不機嫌な男に変身します。
六本木での結婚式二次会、旅先での夜遊び、広告や金融好きな人たちとの飲み会、などなど。ちょっとでも寂しい想いをすると、「もう帰りたい。西荻に帰りたい」オーラが全身から出てしまいます。

幼い頃、2歳年上の兄貴にずっとくっついて遊んでいた(リアルに「金魚の糞」と呼ばれていました)のと、生来の自意識過剰がミックスされて、この「内弁慶」性格が形成されたので根本的な改善は不可能です。
見知らぬ土地や人間に好奇心を燃やせる人に出会うと、やたらにうらやましくなります。生まれ変わったら、性格を交換しない?

しかし、この人生は、内弁慶性格と折り合いをつけながら、なんとか楽しく過ごすしかありません。
どうすればいいのでしょうか。

「西東京ひきこもり」を自認する僕でも、飛び地のように安心できる場所はあります。
気の合う友人や親戚が住んでいる街です。
京都、名古屋、宇都宮、岡山、大分、仙台、岩国、横浜、大宮などなど。
もし「迷子」になっても助けてもらえるという甘えがあるのかもしれません。
まだ行ったことはなくても、親切な友人・知人がいる街は、地図上で灯台のように光って見えるから不思議です。
秋田、松山、バンコク、シンガポール、クエート、オクスフォード……。
遠出が不得意な僕ですが、こういう街ならいつか訪れてみたいです。

東京の中でも、一度は住んだことがあったり、母校があったり、肉親・友人がいたり、大好きな店があったりする場所は、とりわけ嬉しい安全地帯として体が認識しています。
東村山、小平、国分寺、国立、武蔵境、三鷹、吉祥寺、西荻窪、高円寺、阿佐ヶ谷、中野、東中野、大久保、新宿、御茶ノ水、神田(中央線沿線ばかりですね…)、奥多摩、飯田橋、市ヶ谷、神保町、下北沢、表参道、渋谷、池袋、大塚、目黒、椎名町、広尾、八幡山、浅草、浅草橋、代々木上原、向ヶ丘遊園、町田、などです。

その中でも、フリーランスになりたての僕を受け入れてくれた、小さくてかわいい街、西荻窪は特別な場所です。
一生付き合える友人宅や通い続けたい名店があるから、だけではありません。
『西荻丼』というタウンペーパー作りのボランティア活動を通して、「共同体」に参加してきたからです。
住むだけ働くだけ消費するだけの街ではなく、共同体の一員として関わる街。発行部数5千部というささやかな貢献ですが、僕にとっては初めての体験でした。
世界にはもっとキレイで便利な街はたくさんあると思いますが、僕にとっては西荻は唯一の存在になりました。

サン・テグジュペリの『星の王子様』(内藤濯訳、岩波少年文庫)にわかりやすい例が載っていますね。
小さな星を出て地球にやってきた王子様は、咲き乱れるバラの花たちの前で、星に残してきてしまった一輪のバラについて語ります。

「あの一輪の花が、ぼくには、あんたたちみんなよりも、たいせつなんだ。だって、ぼくが水をかけた花なんだからね。覆いガラスをかけてやったんだからね。ついたてで、風にあたらないようにしてやったんだからね。ケムシを――二つ、三つはチョウになるように殺さずにおいたけど――殺してやった花なんだからね。不平もきいてやったし、じまん話もきいてやったし、だまっているならいるで、時には、どうしたのだろうと、きき耳をたててやった花なんだからね。ぼくのものになった花なんだからね」

一輪のバラへの愛情に気づいた王子様は、師匠役のキツネから教えを受けます。

「人間っていうものは、このたいせつなことを忘れているんだよ。だけど、あんたはこのことを忘れちゃいけない。めんどうをみたあいてには、いつまでも責任があるんだ。まもらなけりゃならないんだよ、バラの花との約束をね……」

住所は移しますが、「自分のものになった」西荻という街を僕は忘れません。
これからも『西荻丼』などの活動に関わっていくつもりです。
そして、新しく住む四ツ谷(どんな街なんだろう…)でも、機会を見つけて街づくりに参加したいと思っています。

離れるのではなく、広げていく。
こんな気持ちで引越や旅行をし、少しずつ友人・知人を増やしていけば、内弁慶の「内」の範囲が大きくなっていくはずです。
気がついたら、「西東京ひきこもり」ではなく「地球ひきこもり」になっていて、「火星までならいいけれど、地球からあんまり遠い星に行くのは寂しいよ」なんて言っているかもしれませんね。
by jikkenkun2006 | 2009-06-21 09:37 | 週末コラム | Trackback | Comments(7)
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Commented by tetsuo at 2009-06-21 16:11 x
もしかして、彼女さんと同棲ですか?
Commented by corona at 2009-06-21 17:10 x
ご無沙汰しております。

ちょっとびっくりしました、、

私も、6年ちょいいた、今の街から引っ越しなのです、次の週末に。
西の端から、東の端へいきます。

四ツ谷でしたら、私の会社が近いので、
また是非ゴハンご一緒しましょう^^

引越し準備しなくちゃ、、
これから手をつけるのです(汗汗
Commented by tomo at 2009-06-21 18:38 x
祝・お引越!
なんかすごくわかる、「安全地帯」の感覚。
でもきっと四ッ谷も気づいたら居心地のいい安全地帯になってるんじゃないかな。
クウェート、灯台に加えてくれてありがとう!いつでも大歓迎です。
Commented by フナツ at 2009-06-21 21:45 x
俺も彼女と同棲?
と思っちゃいました
Commented by jikkenkun2006 at 2009-06-21 22:12
>tetsuoさん
コメントありがとうございます。ええっと、その点はまた書きますね。

>coronaさん
奇遇ですね! 引越っていろいろあって大変ですが、お互いがんばりましょうね。

>tomoさん
おお!中東からコメントありがとう。いずれクウェートで乾杯したいね!

>フナツさん
コメントありがとうございます。また今度!
Commented by OLになりたい at 2009-06-23 00:12 x
お久しぶりです!
お引っ越しなんですね。私が越してくる際はお世話になりました。
私はまだ西荻歴半年ちょっとなので、まだまだ開拓します。
四ツ谷でもお店開拓してここに載せてくださいね。
Commented by jikkenkun2006 at 2009-06-23 22:27
>OLになりたいさん
コメントありがとうございます。西荻、もう半年なんですね。奥深い街なので、どんどん開拓してください。またお兄さんと3人で飲みに行こう!


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