狩猟採集に没頭して、「お金」と「自意識」から適切な距離を置く

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こんにちは。大宮です。
先月まで5年間にわたり、特定の食材や料理に偏愛を捧げている人たち「食べ物マニアーズ」にインタビューをしていました。合計60人のマニアたちに会って、毎回のように感じたのは「お金や自意識と離れた何かに無心で取り組めるって素晴らしい」ということです。

自転車操業で自営業をしている僕は、「お金」と「自意識」が頭から離れるのは、親しい人と楽しく飲み食いしているときや映画を観ているときぐらいです。でも、もう少し主体的で健康的な趣味を持ちたいとずっと思っていました。散歩や街歩きも好きなほうですが、歩いていると座っているとき以上にあれこれ考えてしまうので、運動にはなっても気分転換にはなりません。

いま、一番可能性を見出しているのが釣りです。3年前に海沿いの町(愛知県蒲郡市)に引っ越してからは、ゴルフに行きたい義父に無理矢理お願いして堤防釣りをしています。僕の技術で堤防から狙えるのは、セイゴ(スズキの稚魚)・ゼンメ(ヒイラギ。雑魚扱いであまり市販されていないけれど煮魚にすると絶品)・カサゴ・コチ・キス・ハゼ程度で、いずれも15センチ足らずの小魚。それでも、魚がエサを食って針にかかると海の中から糸と竿を通してビクッビクビクッとした生々しい振動が伝わってくるのです!

この時点では何が釣れたのかわからないけれど、おそらくおいしく食べられる新鮮な魚を自分の手で得たという喜びと誇らしさ。釣竿を立て、リールを巻くと、海の中から白っぽいものが見えてきます。生きた魚が僕の手で引き寄せられてくる。快感としか言いようがありません。

遠い昔、僕の祖先が狩猟採集生活をしていた頃の記憶がDNAに刻まれているのだと思います。その頃に生れても、僕は「好きな割には下手で向上心もない」狩人だった気がします。頼もしくて面倒見のいい兄貴的な存在にくっついて狩りに行き、兄貴が大物を仕留めたら何より嬉しくて、自分は小物を得たら満足、という性格だったことでしょう。

ただし、狩り(釣り)の道具ぐらいは自分でセッティングできるようにならないと足手まといになり過ぎますね。NHKの朝ドラ『まれ』でも能登の子どもたちが自分たちだけで磯釣りをしている光景が描かれていますが、海辺の子たちにとって「釣り」は「虫取り」と同じぐらい当たり前の遊びなのです。38歳の僕もせめて小学生レベルにはなる!のが今年の目標です。

というわけで、昨日は、編集者のオオツくんがプレゼントしてくれた釣竿に、義父がくれた簡単なリールを付け、近所の釣具屋でアオムシ(青ゴカイ)を500円分買って、家から徒歩4分の港に釣り糸を垂らしてみました。アタリ(魚がエサを食べること)は全くありません。漁港ではなく工業用の港であり、向こう岸の埋め立て工事が進んでからは夏場でも釣り人をほとんど見かけなくなりました。

1時間ほどであきらめて、廃線の危機をささやかれている名鉄蒲郡線に乗って東幡豆漁港(写真)へ。今度は2回ほどかすかなアタリがありましたが、2時間ほど粘っても釣果はゼロ。初挑戦は失敗に終わりました。釣り好きの人によれば、僕たちが住んでいる三河湾の沿岸にはGWが明けないと魚が入って来ないのだそうです。海の季節は陸上よりも1ヶ月遅れると言われていて、気温ほどには水温は上がっていないので、居つきの魚(季節に応じた回遊をせずに沿岸の岩陰でじっとしている魚)も活性していないのでしょう。

釣れなかったけれど、不慣れな僕はボンヤリと考え事をしている暇はありませんでした。釣り糸にオモリや針をうまく付けられなかったり、長すぎるアオムシをちょん切るのに躊躇したり、リールが不調になってしまったり。釣れた魚をしまう準備はビニール袋と保冷剤しか持って行かなかったので、小さなクーラーボックスは必要だなと気づいたり。魚ではなく道具と格闘していたらあっという間に3時間が過ぎました。

基本的には親しい人たちと会話もしながら釣りを楽しみたい僕ですが(明後日は義父と友人と一緒に知多半島近くの日間賀島で早朝から船釣りです。島なら釣れるかな…)、たまには一人で釣り糸を垂れて練習するのもいいなと思っています。大物が釣れたときのために出刃包丁でも買おうかな……。お金と自意識という「現代人の2大病」と適切な距離を置くには、自分に向いた方法で自然に遊んでもらうのが良い気がしています。
by jikkenkun2006 | 2015-04-24 16:44 | 週末コラム | Trackback | Comments(0)
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