栗_f0084436_23452348.jpg 最近、水彩画にはまっています。小さな対象物をじっと観察して、細かい筋や陰影などを描こうとするとき、すべての煩悩を忘れられる気がします。「夢中」な状態なのだと思います。特に何の役に立つわけでもないのですが……。
 話は変わりますが、みなさんは悲しいことがあると、どんなことをして気分転換しますか。髪を切る、買い物をする、旅に出る、スポーツをする、酒を飲む、などなど。人によって様々でしょう。インタビューしてまとめたら面白い記事になりそうですね。僕の場合は映画を観たり絵を描いたりするわけですが、自分という存在を消したくなるほど辛いときには、ある本を開きます。10年も前に他界した芸術家のエッセイ集で、会社を辞めるかどうか迷っていた6年前に買って以来、もう何十回も読み返しているのですが、毎回違った一節を好きになります。

「人間はたしかに他の動物よりも誇りをもっているかもしれない。しかしその誇りというのは奇怪な曲折を土台にしている。悲しみ、悔い、恥じる。あるいは無言に、また声をあげて。しかしそれも人生の一つの歌にすぎない。
 自分のひそかな歪みにたえながら、それを貫いて生きるしかない。そして救われたり、救われなかったり。目をこらして見れば、それがあらわに人間生活の無限のいろどりとなっているのが見えるだろう」(岡本太郎『自分の中に毒を持て』青春出版社)


 悲しみや後悔も人生の彩りの一つにすぎない。厳しいようでいて優しい言葉です。ありがとう岡本太郎。自分と他人の痛みを一緒に昇華できるような文章を、僕も書きたいと思いました。
by jikkenkun2006 | 2006-09-07 23:45 | ときどき水彩


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