楽しむ30代

 こんばんは。大宮です。
 今週でいよいよ30歳になります。想像していたよりはプレッシャーを感じずに誕生日を迎えられそうですが、いい機会なのでこの場を使って30代の決意表明をしたいと思います。「決意表明」なんて、僕って真面目ですね!

 振り返ってみれば、10歳ぐらいまでは親兄弟に守られて、ピグミーモンキーのように気楽に過ごしていました。まだ自我が目覚めきってなかった感じです。幸せな子ども時代だったと思います。
 しかし、小学校4年生のときに引っ越して、学校でいじめられていじめて傷ついて、自信をなくしました。暇さえあれば「運動神経抜群でハンサムで頭も良くてちょいワルの人気者」に変身した妄想で現実逃避をして、うつむき加減に暮らしていました。高校は伸び伸びとしたいい学校だったのですが、自己嫌悪が強かった僕は受験偏差値だけにアイデンティティーを見出していたような気がします。もったいなかったなあ。思い悩んだ10代、というところですね。

 一浪して大学に入ると、いい友達や先生にも恵まれ、好きな女性もできて、少しは自分を認められるようになりました。でも、長年の自己嫌悪で「本当は何がしたいのか」よりも「どんな生き方が世間からカッコイイと言われるか」を気にする人間になっていました。その延長線上で選んだ就職先で挫折して、初めてシラフになった思いがしました。5年以上冷戦状態だった父親と和解したのもこの頃です。
 その後、外資系金融マンやユニクロ社員よりは僕に向いているライターという職を見つけ、今に至っています。ただし、10代で一度捨ててしまった本来の欲望は、心の底で小さくなって体育座りをしているので見つけにくいのです。ライターとしての専門分野を見つけるのに苦労しています。優しい編集者や先輩ライター、読者からもらったアドバイスを参考にして自分を見つめ、最近は「人の生き方や人間関係をテーマとするルポエッセイスト」として一本立ちすることを一応の目標にできました。
 でも、また別の編集者から「大宮君はまだ若いんだから、そんなに自分を固めないほうがいいよ。好き嫌いせずに仕事をどんどんするべきだ」と言われると、「なるほど。その通り!」と思ってしまうのです。でも、そうするといつまで経っても便利ライターの域を脱せない恐れもあるし……。こんな風に模索してきた20代でした。

 30代を迎えるにあたり、ようやく「正しい生き方、働き方」が見つかったのかというと、そんなことはありません。相変わらず夜な夜なモジモジ悩んでいます。苦しいときの神頼みで読んだ『論語』で、孔子がこんなことを言っていました。

これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。

 確かに、「これは知っておくべきだ」と無理に勉強するよりも、好きなものを学んだほうがはるかに身につきますよね。ただ、「好き」「嫌い」というのは頭で考えた固定的な価値観という感じがします。「本当に好きなのか、いつまでも好きでいられるのか」と問い詰められたら、気持ちが揺らいでしまいそうです。
 それに比べると、「楽しむ」のは肉体的かつ一時的です。無責任で気楽な響きすらします。遊びに夢中な子どものように楽しんで仕事や勉強ができたら、素晴らしい成果を生み出せることでしょう。うーん、さすが孔子おじさん、いいこと言うね!
 とはいえ、「楽しい」ことを見つけるのが難しいんですよ。あれ? そうでもないぞ。ちょっと想像するだけでも楽しいことが10個もありました。

●派手なシャツを買って着るのが楽しい
●池波正太郎の本を読むのが楽しい
●旨いおかずと一緒に白いご飯を食べるのが楽しい
●お酒の美味しさを覚えるのが楽しい
●心を込めて書いた文章が誉められるのが楽しい
●優秀なのに偉ぶらない人と話すのが楽しい
●お絵描きをして人に見せるのが楽しい
●素敵な女性に甘えるのが楽しい
●映画を観るのが楽しい
●自分のことをあれこれ考えるのが楽しい

 その気になれば、毎日すべて実現できる慎ましい10項目ですよね。起きている時間を16時間ぐらいだとしたら、90分ごとに「楽しい!」と体が喜ぶ瞬間が訪れることになります。けっこう素敵な生活だといえるのではないでしょうか。
 もちろん、生活をしていくためには楽しくないこともやらなくてはいけませんが、「意外に楽しいこと」に出会えるかもしれません。シャツのボタン付けを嫌々やったら裁縫にハマってしまったり、付き合いで経済分析記事を書いたら面白くなって経済ジャーナリストを名乗ってみたり……。やっぱり楽しくないやと感じたら、また興味が芽生えるまで離れていればいいんですよね。好きだ嫌いだと言って自分を固定する必要はありません。
「自分の欲望」とか「本当に好きなこと」を探してもなかなか見つけられないので、楽しいことにできるだけ時間をかける生活を心がけようと思います。その過程で、僕が進むべき道も自然と見えてくるはずです。見えてきてほしいなあ。

 決意表明というより祈りのような文章になってしまいました。どうか楽しい30代になりますように……。
by jikkenkun2006 | 2006-11-05 03:57 | 週末コラム | Trackback | Comments(5)
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Commented by かっちゅり at 2006-11-05 07:30 x
お久しぶりです。いつもユニークな文章ですね。天職ですね。私は10歳近く年齢が上ですが、近いことを感じています。精神年齢近いな。これからも楽しみにしています。
Commented by ヤマトタケル at 2006-11-06 12:19 x
おいらもうんじゅううんさいだけども、まだ決定打は見つけられない。第二の人生ってやつもあるから、そのときになったら、また別のことを探すんだろうな。楽しけりゃいいんじゃないの。
Commented by やや at 2006-11-06 12:21 x
おめでとう!30代は忙しいぞ。
Commented by 降格天使 at 2006-11-06 20:06 x
おめでとうございます!
実はずいぶん前から拝見させていただいてました
素朴で飾らない素直な文章や人柄に、いつも癒されてます
これからも変わらず大宮さんのまんまで歳を重ねていってくださいね
ではまた!
Commented by jikkenkun2006 at 2006-11-06 23:58
>かっちゅりさん
うれしいコメントをありがとうございます。共感していただけてうれしいです!

>ヤマトタケルさん
第二の人生、いい考え方ですね。辛いことがあっても、新しい人生を生き直すつもりになれば、乗り越えられる気がします。

>ややさん
ありがとうございます。え、忙しいんですか? 怖いなあ。

>降格天使さん
誕生日プレゼントのような嬉しいコメントをありがとうございます。明日はその言葉を抱えて、しみじみと過ごしたいと思います。




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