料理と一緒に食べるもの

 こんばんは。大宮です。
 一人暮らしなのに寂しがりな僕は、3回の食事のうち2回は外食をしています。餌をもらう家畜になった気になる吉野家ですら、牛丼をむさぼる他の客やテキパキ働く店員が周囲にいると和みます。

 世の中にはグルメ本やグルメサイトがたくさんあります。名店と呼ばれる店を、味、値段、インテリア、接客などのポイントで細かく紹介していますよね。1ページごとに、編集者やライター、カメラマン、デザイナーの苦労がしのばれます。真夏のお店取材とか、大変だよね~。

 デートなどの非常事態では、僕もこうした情報源を利用させてもらっています。どうしても探せない場合は、飲食店に詳しい友人たちに「人間グルナビ」になってもらうこともあります。「渋谷か表参道でオシャレなフレンチを探している。予算はひとり1万円ぐらいで。頼む、勝負デートなんだ!」とか。

 改めて書くと、かなり恥ずかしいことをしてますね。デート相手の女性が鋭い人ならば、「この男も初めての店なのね。一生懸命探したんだな。無理しちゃって」と見抜かれるでしょう。ああ、10年前から人生やり直したい!

 と、話がズレてきたので戻します。こんな苦労までして訪れた「名店」ですが、「また来たいな」と思える店は意外と少ないのです。僕はグルメではありませんので、そこそこの味でお腹いっぱい食べられれば「食事」としては満足します。昔のように貧乏学生ではないので値段もそれほど気にしませんし、清掃がきちんとされていればインテリアにケチをつけることも少ないと思います。接客も普通でいい。初対面なのにやたらと馴れ馴れしいオシャレ居酒屋のイケ面店員はむしろ嫌いです。

 何が不満なのか。店員一人ひとりの心情と店員同士の人間関係です。予約をして店に行き、席を案内されて注文をする。料理が来て、追加注文をして、食器を下げてもらって、お茶を出してもらって、会計をして、見送られる。店にいる時間に店員と接する機会は意外とたくさんありますよね。

 この間に、無意識のうちに店員たちを観察してしまいます。そして、こんなことをグルグルと考えています。

「この店員は仕事を楽しんでいるんだろうか。愛想笑いはしているけれど、心ここにあらずっていう感じだ。全力で働いているとは思えない。心の底では『なんで私が接客なんてしてんのよ。本当はミュージシャンになりたいのに』とか思っているんだろう。さっき上司らしき男に声をかけられていたけれど、納得いかなそうな顔をしていたな。上司との信頼関係もないんじゃないか。そういえば、あの上司は佐川急便のお兄さんに対して『お世話さまです』の一言もなかったな。客に対してはいい顔をしているけど、業者に対しては冷たいっていうことか。このレストランをいい店にしようとは本気で思っていない気がする。ここは踏み台にして将来自分の店を作ろうと画策しているのかも。あそこでは店員同士が嫌なふざけかたをしているな。客の悪口で盛り上がっているんじゃないか……」

 などなどです。僕の妄想かもしれませんし、こんなことで店員にクレームをつけることもありません。「あなた、本当はこの店を愛してないでしょ」なんて言ったら変態扱いされますからね。黙って帰り、二度と行かないだけです。
 そして、接客は淡々としていても、店員一人ひとりのプロ意識と店員同士の信頼関係が伝わってくるような店に何度も行ってしまいます。

 店員たちの心情と人間関係が集まって作り出される雰囲気。インテリアや客層よりも、「店内空気」の大きな割合を占めている気がします。僕たちは料理と一緒にこの店内空気も食べているのです。

 いい感じの店内空気を食べたときは、店を出たときに背筋が伸びる気がします。「組織は愛だ!」とか「俺も大好きな仕事を尊敬できる人たちとやり遂げよう!」とか叫びたい気分です。

 おいしい料理と空気を食べさせてもらえる店に、また行きたいと思います。
by jikkenkun2006 | 2007-04-25 23:03 | 週末コラム | Trackback | Comments(5)
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Commented by ricoricex at 2007-04-25 23:42
同感です!
私はすべての仕事はサービス業だと思っているので、
味や内装がある程度値段に見合っていれば、
あとはその店の人となりですね。
その部分でいいなーと思えば積極的にまた行きます。
サービスって過剰にかゆいところに手が届くように何かをすることではないと思うんですよねー。
お客にも業者さんにも対等で、スタッフ全員がプロとしての意識をもってまっとうな仕事をすること(きびきび動いている、気遣いができる、できないことはできないでちゃんと理由も説明できるetc)が大事だと思うんだけどなぁ。
Commented by のりすヶ at 2007-04-26 01:29 x
東京に来て6年、
誰がどんなに薦めてくれるお店でも、
心から満足できないことがほとんどです。
その違和感の原因は、これだったのですね!!
実験くん、代弁してくれてありがとう。

そんな私が1件だけ、大好きなお店が新橋にあります。
実験くんをそのお店で感動させたいなぁ。
Commented by いりみつ at 2007-04-26 05:54 x
 僕は2年前までは田舎に赴任して一人暮らしでした。(今は都会で一人暮らしですが)
 田舎は人口が少ないため、よくない飲食店はたやすくつぶれます。だから生き残っているのはいいところばかりです。(数は少ないですが)
 坂戸市、毛呂山町、都幾川村にはいいお店ありましたよ。店の雰囲気、食材、味どれもグッドです。
 僕はいいお店は都会よりも実は田舎に多いのではないかと思っています。
Commented by さつき at 2007-04-26 10:52 x
最近、下北沢のおいしいハンバーガーやさんで、とっても素敵な店員さんを発見しました。
接客がとっても丁寧で、フレンドリーで、しかもとっても愛を感じます。
笑顔もとってもかわいくて、ハンバーガーももちろんおいしいのですが、それにプラスして、彼女の接客でとってもうれしくなってお店を出れます。
このお店はそういう意味で素敵だなー、と思っていた矢先でしたので、私にとって、今回はとってもタイムリーな話題でした!
Commented by jikkenkun2006 at 2007-04-27 03:10
>ricoricexさん
「まっとうな仕事」、見たいですよね。そうなんですよね~。

>のりすヶさん
一軒でもそんな店があると、東京も捨てたもんじゃないと思えますよね。

>いりみつさん
旅行下手な僕も国内旅行してみたくなりました。弟にでも連れて行ってもらおうかな…。

>さつきさん
素敵なハンバーガー屋ですね。今度下北沢に行ったら探してみたいです。


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