大人になる~読書伝聞帳(3)『人間の土地』~

f0084436_0461947.jpgこんばんは。大宮です。
来週で32歳になります。
正真正銘のオッサンですよね。
それなのに、先日、知人から「大宮くんって自分勝手よね。自分が大好きなんでしょう。他者を受けとめる度量は感じない。もっと大人になりなよ」的なことを言われました。
悔しいので、「どうすりゃいいんだよ!」とぶちキレる僕。
「そうね。やっぱり男の人は結婚して子どもができると変わるよ」
それはひとつの具体策なのかもしれませんが、もうちょっと抽象的な答えがほしいのです。

『星の王子さま』のサン・テグジュペリによるエッセイ集で、答えらしきものを見つけました。

ある冬の日、郵便物を飛行機で運ぶ仕事をしていた著者の仲間がアンデス山中に墜落し、消息を立つ。厳寒期のアンデスには山賊も入らないと言われ、生還は絶望視された。実際、彼は寒さと疲労で凍死寸前にまで追い詰められる。しかし、死の眠りに陥る寸前に「生命保険」のことを思い出し、再び起き上がった。
雪の斜面で死ぬと、夏の雪解け水で沢の奥まで自分の遺体が流れてしまう。「失踪」では法律上の死の認定は4年後になるので、その間は保険が下りず、妻が窮乏することになる。せめて、50メートル先にある岩まで進んで、自分の体を固定してから死のう……。
そして、一歩また一歩と踏み出し続け、ついには奇跡の生還を遂げる。

このエピソードについて、著者は次のような感想を述べています。

<彼の偉大さは、自分に責任を感ずるところにある、自分に対する、郵便物に対する、待っている僚友たちに対する責任、彼はその手中に彼らの歓喜も、彼らの悲嘆も握っていた。彼には、かしこ、生きている人間のあいだに新たに建設されつつあるものに対して責任があった。それに手伝うのが彼の義務だった。彼の職務の範囲内で、彼は多少なりとも人類の運命に責任があった。
(中略)
人間であるということは、とりもなおさず責任をもつことだ。人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ。人間であるということは、自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ。人間であるということは、自分の石をそこに据えながら、世界の建設に加担していると感じることだ。>

(サン・テグジュペリ『人間の土地』新潮文庫)

「人間」を「大人」と読みかえれば、そのまま僕の質問への回答になりますね。
大人って責任を持つことなんだ……。
では、仕事や人間関係で「責任を持つ」とは何を意味するのでしょうか。
嫌なことがあっても逃げずにやり遂げる、ということかもしれません。

思い返せば、いろんなものから逃げて来た32年間でした。
わが身を守るために必要な「逃げ」もあったのですが、同じ逃げにしても無責任だったのかそうでもなかったのかは自分自身が一番よく知っています。

今後、結婚して子どもを作るかどうかはわかりませんが、どんな状況でも「自分の石をそこに据えながら、世界の建設に加担していると感じる」心を持ちたいなと思います。
とりあえず、明日の取材はビシッとやり遂げよう。
32歳独身男の決意表明でした。
by jikkenkun2006 | 2008-10-26 23:58 | 週末コラム | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : http://syokulife.exblog.jp/tb/9497114
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by こえび at 2008-10-27 23:22 x
逃げて来たというより、色々な可能性を探ってきたのではないですか?(笑)
他者を受け止める度量って、まずは自分の中にある弱さやコンプレックスを含めて自分をまるっと認めて受け止めてあげる、そこから他人も受け止める寛容さが生まれていくことのではと思っています。結婚して子供できたからと言って変わるものでもないと思いますよ。
大宮さんの「ダブルキャリア」、拝読しました。私は氷河期初期に卒業後2年で会社を辞めてその後転々として今はフリーで働いていて(実態は無職に近い)、自分はすぐに仕事を辞めて情けないと思っていたけど、上司や友達からは辞める勇気があってうらやましい、と言われました。
って、とりとめのないことを長々と書いてしまいすみません。
明日の取材、そしてこれからも頑張ってくださいね!
Commented by jikkenkun2006 at 2008-10-28 02:27
>こえびさん
励ましのコメント、ありがとうございます。本日の取材3件、フルスロットルで遂行してきました! お互い、がんばりましょう…。


<< 納豆キムチ目玉焼き丼を作りました 『西荻丼』18号 >>