名前を覚えるということ

こんばんは。大宮です。
選挙の季節ですね。

僕は今、愛知県蒲郡市という人口8万人ほどの小さな町に
住んでいます。人通りの少ない駅前でも誰かが選挙演説を
している声が聞こえてきます。
どこで読んだのかは忘れましたが、故・田中角栄は地元の
一人ひとりの顔と名前をたくさん憶えていたらしいですね。
街頭演説中に握手をしながら、「おう、大宮冬洋くん。お母さんは
元気か?」と呼びかけていたそうです。僕が選挙民だったら
うれしくなって一票入れてしまうだろうな…。

行きつけのアジア料理店の店長も、「常連さんの顔と名前だけは
覚えるようにしている。仕事の内容とかいろいろ聞くけど、それは
忘れてもいい。でも、名前だけは忘れちゃダメ。もし間違えたら
できるだけ早く謝る」と言っていました。
そのお店が繁盛していて、お客さんの表情も明るく穏やかなのは、
「自分の存在はちゃんと認められている」という安心感があるから
だと思います。もちろん、料理がリーズナブルでおいしいことが
前提ですけど。

ときどき「私は人の名前を覚えるのが苦手なのー」という人がいます
よね。その割に、自分の趣味に関しては専門用語を駆使して教えて
くれたりします。そういう人は記憶力が低いのではなく、他者に対する
関心が低いだけです。僕もその一人だからわかります。

でも、知り合ったばかりの人がフルネームで呼んでくれたりすると
妙にうれしい。逆に、何度も会っているはずなのにいつまで経っても
「大宮東洋さま」などと漢字を間違えてメールしてくるような人には
距離感ができてしまいます。

大切なのは記憶力ではなく危機感なのだと思います。
「名前を忘れたり間違ったりすると信頼関係を損ないかねない」と肝に
命じていれば、大切な友人や仕事仲間、お客さん(僕にとっては編集者と
読者)の名前をちゃんと覚えられるはずです。うっかり忘れそうになったら、
何度も音読して復習して覚えるべきでしょう。

理想論かもしれませんが、お客さんの名前を覚えると、彼らに提供する
サービス(僕の名前は文章)の精度や品質が向上する気もします。
お客さんの名前と表情が頭に浮かぶので、いい加減な成果物は出しにくく
なるからかもしれません。
というわけで、最近は自分にとって大事な人の名前はちゃんと覚えるように
しています。

僕は選挙に出るつもりはありませんが、来世で議員にふわさしい人物に
生まれ変わったら、何よりも優先して選挙区の有権者の氏名を覚え
まくりますよ。1万人も覚えたら無敵だと思います。
by jikkenkun2006 | 2012-12-01 21:45 | 週末コラム


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